2013年1月5日土曜日

授業をクイズ番組にする

学生の時に塾講師をしていた。個人で経営されている塾で、割と自由にやらせてもらえた。

最初は普通に授業をしていたのだが、中学生にもなるとなめてかかってくる。宿題もやってこない。宿題をやってこない子には居残りをさせいてたが、敵もさるもので、適当な答えを埋めて「やってきたふり」をする。

ゴリゴリの進学塾ではないので、中くらいの成績から高校進学から悩んでいる子まで来ていた。

基本的には勉強をする気はない。ちょうど稲中が全盛期だったので、キャッキャしながら休憩時間に卓球をしていた。私も変に卓球は上達した。

そんな塾とはいえ、親御さんは成績アップを願ってお金を払ってくれている。成績の下降を食い止めなくちゃいけない。

最初は宿題の不正解数に応じた居残りをやらせていた。やってこなかった場合も、適当な答えを書いていた場合も居残り対象。

しかしその居残り勉強も、6割の正答率でよしとする子が結構いた。逆に、中くらいの塾にきてる賢い奴ほど、プライドが高いので、知らない問題に取り組まない。6割の理解でよしとしてしまう。因数分解で解ける方程式はやるけど、解の公式は彼の美学に反するのでやらない。共感はできるが、それではギリギリ合格しない。

その対応策として、居残り勉強も、連続で3問正解しないと終われないようにした。途中からは居残りではなく全員が参加にした。要は小テストなのだが、クイズ番組のフォーマットにしている。


  1. 黒板に全員の名前を書いて、ポイントを書く
  2. 一問出す。1分まつ(それくらいの小さな問題)
  3. 10秒前からコールする
  4. 回答を発表する
  5. 正解するとポイントが上がり、間違うとゼロに戻る
  6. 1分間の復習タイム
この繰り返しで、3問連続正解すると、一抜けになる。一抜けのファンファーレはアメリカ横断ウルトラクイズ。

こうすることでいろいろ効果が出てくる。
  1. 見直しをするようになった
    • 「見直し」は苦痛でしかない。その気持は分かる。しかしながら、「一問でも間違うとリセット」なら、見直す方が得なのだ
  2. 途中計算を書くようになった
    • 賢い奴ほど途中の計算を書かない。ただそれだと見直しがしんどい。だから途中計算を書いた方が有利になる
  3. 苦手を放置しなくなる
    • 2問までとんとんといくと、3問目は彼が苦手としている分野を出す。彼がそこで問題を捨てたとしても、次の3問目も同じ問題をだす。本人は気付いてないだろうが、こちらは全員の苦手を知ってる。言われなくても、このパターンを克服しないとダメだなってことに気付く。
    • 回答を出した後の復習タイム(と言っても1分で十分だが)で正しい解き方を覚えてもらう。
  4. 下克上が起こる
    • 子供達にもヒエラルキーがある。成績の序列はみんな分かってる。ただ、連続三問方式は、ケアレスミスも命取りになる。低位安定していたコツコツタイプがトップに立つこともある。天才タイプは負けると悔しい。中学生と言えど、「賢くありたい」という気持はあるのだ。かけっこが楽しいのと同様に、テストを通じて一番を決めるのは楽しい。
  5. 緊張する
    • 普通、塾でまず緊張はしないのだが、一問ずつ時間制限があって、一問ずつ答え合わせをするので、数分ごとに結構な緊張感が出てくる。それを乗り越えて、小さく勝ち負けが決まり、ランキングがダイナミックに変わる。賢くてなめてる奴も、賢くなくて諦めている奴も、そこではプライドをテーブルの上にBETしているのだ。
そんな感じ。

まとめると、「頻繁なフィードバック」が超大事。ゲームで言えば、プレーヤーが死ぬ場面。スポーツで言えば勝ち負け。学習においても「僕って賢いの?」という問いに頻繁に答えることができる場作りが大事。


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